連載コラム

最終更新日 2016/04/11

連絡帳のやり取りで足りていますか?ご家族とのコミュニケーション

こんにちは、介護弁護士の外岡です。前回は、普段からご利用者・ご家族との間で小まめに連携を取ることが重要という話をしました。 その具体的方法として、最近多くの年代の方に普及したスマホを使った、メールやコミュニケーションアプリが効果的ということでしたね。

今回はデイサービスのトラブル事例を見てみましょう。

デイサービスでの苦情対応ケース

要介護度3、認知症、79歳男性のご利用者Aさん。ストーマという人工肛門を増設され、排泄時に特殊な処置が必要な方でした。 週3、4回デイサービスに通っていましたが、ある日同居の息子Bさんから施設の事務局に次の様なクレームが。「土曜日だけ、便が漏れて衣類が汚れて帰ってくることが続いている。 今までこんなことはなかった。おそらくCさんという看護師の介助の仕方が悪いせいだと思うが、この人には父の介助をしてもらいたくない。 また、Cさんが担当の日だけ、帰宅した父から強烈な消毒液の臭いがする。自分で便の処理を失敗しておきながら、父の頭から消毒液を振りかけているのではないか。

事務局の方ではAさんのご家庭からはこれまで特に苦情は無いものと認識していたため、大変驚きました。 ともかくも不手際を謝罪し、職員がC看護師に事情を尋ねたところ「A様の排せつ介助のやり方に特に問題があるとは思われないが、 過去に1、2度便が漏れてしまったことはあったかもしれない。消毒液については、施設でテーブルの消毒以外使わないので、そのような臭いがするとは考えらえない。 ただトイレ内での処置後、臭いがこもるため微香の消臭スプレーは使っている」との報告を受けました。

ご家族に謝罪と事実確認にお伺いしたところ、Bさんはずっと溜め込んできた怒りがついに爆発したという勢いでまくしたてられました。 「以前、連絡帳に消毒液の臭いがすると書いたとき、「すいません。C」とだけ記載されていた。「すいません」と言っているんだからやったに決まっている。 トイレ内が臭うなら換気扇を付ければいい。何で対処しない。土曜日は「また汚れて帰ってくるのか」と不安な気持ちで待っている。他の曜日はない。 ちゃんと説明に行ったのになぜそうなるのか。Cさんを辞めさせることはできないのか。なんで、できない人を使うのか。 連絡帳に書いても「すいません」の一言で済まそうとしているのが腹立たしい。自分も実際に汚れた状態の片づけをしてみればいい。 肌着も汚れてしまい洗っても時間がたってしまうとなかなか落ちない。しみになり何枚も捨てている。どうなんですか。そういうことに対して何もないんですか。」

Bさんは最後に「これって虐待ですよね。これから東京都の窓口にも言いに行くつもり。警察にも行く。」と怒りに震えた声で言われたのでした。

ご利用者一人一人への対応スキルを向上させる方法?

この話から得られる教訓は二点です。まず、①ご家族からの苦情申立は、できるだけ小さな芽の段階で積んでいくこと。 また②ご利用者との間の課題やトラブルの素については、担当者だけでなく管理者、事務局等チームで連携し常時把握する体制をつくること、です。 本件の①では、Bさんは以前施設に出向き「説明に行った」と話していましたが、それが本当であれば施設側の大きな落ち度と言えそうです。わざわざ出向いて説明までしてくれているのに、改善が一向に見られないということであればご家族の怒りももっともですね。本来であれば、「B様が来所され排泄の方法につき説明を受けました」という事実をその日のうちにスタッフ間で共有し、今後Bさんを煩わせることのない様原因を突き止め解決に向けて動く、といった対処を先回りして実践していくべきでした。②については、実はこれこそが従来の紙ベースでの連絡ツールの限界であるといえるでしょう。この点コミュニケーションアプリであれば、簡単に送信先を追加することができ、複数名で最新の情報を共有することができます。「すいません」等という不適切な言葉遣いを事務局の方で発見したら、すぐに指摘し改めさせることができますね。そうした情報共有の観点からも、IT技術の導入を検討されると良いと思います。